平成17年06月
「やはりというか、おもわず本音が出たというところでしょうね」。奥田碩・経団連会長の発言を聞いた公正取引委員会の幹部が漏らした言葉だ。
国が発注する橋梁工事を巡る談合事件で11メーカーの担当役員ら14人が逮捕された時のことだ。奥田会長は「はなはだ遺憾だ」と述べる一方で、「正直言って談合が根絶できるとは思っていない」と述べたのである。
公正委員会幹部の言葉を持ち出すまでもなく、奥田会長の発言は驚くに当たらない。談合の根絶を目指して公取委が違反企業に対する課徴金引き上げを検討した時、大幅な引き上げに反対したのが、ほかならぬ経団連だったからだ。
社員が談合にかかわっていたある大手鉄鋼メーカーのトップは「売上高、利益が減ってもかまわないから、談合は一切やるなと言ってきたのだが」と述べたが、どこまで本気だったかは疑わしい。
談合がれっきとした違反行為であることを十分に認識しながら、どこかで許容している雰囲気が経済界には強いからである。
なにしろ、談合は関係企業にとって居心地がいい。公共事業予算が毎年縮減される中で、メンバーに入っていれば、一定の利益が間違いなく入ってくる。受注競争にあくせくする必要もないから、担当者にとってはこれほど気楽なことはない。
今回の橋梁工事を巡る談合は40年以上続いていたという。
もはや違反行為というより、「りっぱなシステム」になっている。奥田会長が言う「根絶できるとは思っていない」というのは、経済界の総意にも見えてくる。
しかし、成長著しいIT産業などの経営トップからは、競争を避ける仲良し体質を批判する声も強くなっている。経営努力をしないで分け前だけをもらうか、独自の努力で企業発展の道を探すか。
すべては経営トップの意識にかかっている。