H17.06【経済】
「談合が根絶出来るとは思わない」の奥田発言は経済界の総意か
「やはりというか、おもわず本音が出たというところでしょうね」。
奥田碩・経団連会長の発言を聞いた公正取引委員会の幹部が漏らした言葉だ。
国が発注する橋梁工事を巡る談合事件で11メーカーの担当役員ら14人が逮捕された時のことだ。奥田会長は「はなはだ遺憾だ」と述べる一方で、「正直言って談合が根絶できるとは思っていない」と述べたのである。
公正委員会幹部の言葉を持ち出すまでもなく、奥田会長の発言は驚くに当たらない。談合の根絶を目指して公取委が違反企業に対する課徴金引き上げを検討した時、大幅な引き上げに反対したのが、ほかならぬ経団連だったからだ。
社員が談合にかかわっていたある大手鉄鋼メーカーのトップは「売上高、利益が減ってもかまわないから、談合は一切やるなと言ってきたのだが」と述べたが、どこまで本気だったかは疑わしい。
談合がれっきとした違反行為であることを十分に認識しながら、どこかで許容している雰囲気が経済界には強いからである。
なにしろ、談合は関係企業にとって居心地がいい。公共事業予算が毎年縮減される中で、メンバーに入っていれば、一定の利益が間違いなく入ってくる。受注競争にあくせくする必要もないから、担当者にとってはこれほど気楽なことはない。
今回の橋梁工事を巡る談合は40年以上続いていたという。
もはや違反行為というより、「りっぱなシステム」になっている。奥田会長が言う「根絶できるとは思っていない」というのは、経済界の総意にも見えてくる。
しかし、成長著しいIT産業などの経営トップからは、競争を避ける仲良し体質を批判する声も強くなっている。経営努力をしないで分け前だけをもらうか、独自の努力で企業発展の道を探すか。
すべては経営トップの意識にかかっている。
17.06【社会】
CO2削減のためならと自然保護団体指導者の原発容認発言相次ぐ
「反原発」の世界の潮流は変わり始めたようだ。
それを象徴する動きが米国で最近目立ってきた。注目すべき変化だ。
ブッシュ大統領が、「原発推進」を打ち出したことではない。これまで、最も強硬に反対してきた全米の有力な自然保護団体のリーダーたちが、原発に柔軟な姿勢をとり始めたのだ。
原発の最大の抵抗勢力に何が起きているのか。米国では、スリーマイルアイランドで起きた原発事故を契機に、1970年代以降、自然保護団体が反原発キャンペーンを開始し、これを梃子に組織を拡大した。反原発は、いわば彼らの背骨でもあった。
ところが、こうした保護団体の指導的人物の「原発容認」の発言が相次いでいる。
ニューヨーク・タイムズ紙によると、全米の自然保護運動に大きな影響力を持つスチュワート・ブランド氏が「Technology Review」(5月号)で、「原発を見直している」と書き、驚かせ
た。
その理由は尽きるところ、地球温暖化防止の緊急性だ。
風力、水力、バイオマスなど自然エネルギー、将来の切り札と期待される燃料電池などの水素エネルギーも、すぐに石油に替わり得るものではない。このギャップを埋める唯一の技術は「多くの問題があるにしても、原発しかない」と、彼は結論している。
二酸化炭素(CO2)削減のためなら、目をつむろうというわけだ。
保護団体には「裏切り」にも映る“転向”には、秘められた戦略がある。米上院では、リーバーマン(民主党)、マケイン(共和党)の2議員が、CO2を削減するための排出量取引制度の導入を図る法案の3度目の提出をしようとしている。欧州が今年1月から始めた新制度の米国版だ。
自然保護グループが反原発を取り下げる代わりに、排出量取引制度は認める、という水面下の「取引」だ。
「反京都議定書」のブッシュ政権の足元で、見逃せない「攻防」が続いている。