2002.07.04 三井物産部長ら逮捕 問われる企業体質 中国での贈収賄も説明拒否
2002.08.28 三井物産ODA疑惑 懲りぬリベート体質 「必要経費・業界の常識」関係者証言
2002.08.28 三井物産ODA疑惑 国境越え贈賄 刑事責任、初追及へ 不正競争防止法を適用
2002.08.28 三井物産、ODAで贈賄 モンゴル高官に百数十万円 発電施設受注
2002.08.28 三井物産ODA疑惑 他商社に名義貸し依頼 競争入札の体裁装う
2002.08.30 物産ODA疑惑 3回に分け130万円、モンゴル高官に提供 入札時期などに
2002.08.30 三井物産ODA疑惑 「金品受け取っていない」 モンゴル高官が全面否定
2002.09.01 三井物産ODA疑惑 見積価格、筒抜け 子会社から入手 99%高値落札
2002.09.03 三井物産の社長・会長辞任へ ODA疑惑など引責
2002.09.04 相次ぐ三井物産贈賄疑惑 トップに社内から批判 「説明責任の意識欠ける」
2002.09.05 三井物産のODA贈賄疑惑 モンゴル高官にデジカメも贈る
2002.09.05 疑惑、説明一切なし “貝のまま”会見90分 三井物産社長ら辞任正式発表
2002.09.05 三井物産首脳の4人引責退陣 不祥事に消費者厳しく 「辞任猶予」許されず
2002.09.10 ODA疑惑 三井物産・槍田次期社長が会見 「自らの処分後に就任」
2002.09.13 モンゴル贈賄疑惑 三井物産の立件見送り 不正競争防止法「要件満たさず」
2002.07.04 三井物産部長ら逮捕問われる企業体質中国での贈収賄も説明拒否
三井物産の部長らが国後島のディーゼル発電施設受注を巡って逮捕されたが、同社は今年2月、中国の電力プロジェクトに関する贈賄事件でも中国で嘱託社員が有罪判決を受けており、今回の逮捕で同社のビジネスに対する体質が改めて問われることになる。
三井物産は2002年3月期決算で連結税引き後利益が553億円の過去最高を記録、2年後の2004年3月期には倍以上の同1300億円の目標を掲げている。新規事業への投資などが成果を上げてきているためだが、一方で「営業部門の社員は毎年設定される収益目標達成に追われる日々が続いている」という。こうした体質が、今回の事件の背景にあったという指摘もある。
一方で、同社には、中国での贈収賄事件に際しても、公判中であることを理由に細かな説明を拒み続けた経緯がある。今回の事件でも、十分な社内調査や株主などへの情報開示をしていたとは言えない状況で、説明責任のあり方も問われそうだ。
↑back
2002.08.28 三井物産ODA疑惑懲りぬリベート体質「必要経費・業界の常識」関係者証言
◆商社関係者証言法改正から3年半
「相手国の政府高官へのリベートは必要経費」
政府開発援助(ODA)の受注を巡って27日、モンゴル政府高官に対する三井物産の贈賄工作疑惑が発覚したが、業界関係者は、海外ビジネスの受注にしのぎを削る商社やゼネコンの間では、こうしたリベートは「常識」だと証言している。外国公務員への贈賄を禁じる国際的流れの中で、改正不正競争防止法が施行されてから3年半余。その裏で温存されてきた「総合商社」のリベート体質に初めて捜査当局のメスが入ろうとしている。
日本のODAの中心となる無償資金協力と有償資金協力は、いずれも被援助国政府からの要請に基づき実施されるが、実際には、商社やゼネコン、メーカーなどが事前に事業計画を作成し、被援助国に非公式に打診することが多いという。業界ではこれを「仕込み」と呼ぶ。大手ゼネコン幹部は「仕込んだ会社が落札するのが暗黙のルール。その過程でリベートが必要になってくる」と打ち明けた。
関係者によると、ODAの受注に絡んだリベートは、被援助国政府の高官らに対する「成功報酬」として渡されることが多い。現地に設立したペーパーカンパニーに下請けに出す形にしたり、コンサルタント会社に法律や技術面でアドバイスを受けたことにするなどの方法で資金を捻出するという。
今回発覚したモンゴル政府高官への三井物産の贈賄工作疑惑では、高官が来日した際に現金を手渡したとされるが、商社関係者によると、発注国の政府高官が最終的な契約などで来日する場合、受注する商社が航空運賃や高級ホテルの滞在費などを負担するほか、土産物代まで渡すことが多い。関係者は「航空機はビジネスクラス、一泊5万円ぐらいのホテルに数泊するとなれば、すぐに100万円は超える」と明かした。
一方、外国政府高官への贈賄に対し、1970年代から厳しく取り組んでいた米国が提唱し、経済協力開発機構(OECD)加盟国を中心にした33か国が98年、「外国公務員への贈賄防止条約」を締結。これを受けて日本は、不正競争防止法を改正し、いち早く国内法を整備した。
しかし、元コンサルタント会社幹部は「法律が整備されて以降、国税当局の目も厳しくなったが、日本の本社でいくら調べても経理書類は整っているから、簡単にはリベートは見つからない」と言い切る。
三井物産では今年2月、嘱託社員が中国浙江省の電力プロジェクトの入札に絡み、国家電力公司の幹部にわいろを贈った罪で懲役2年、国外退去処分の判決を受けたばかり。
法人として起訴された同社は無罪だったが、この事件以降、日本の商社は外国政府高官へのリベートには敏感になっているという。
商社関係者は「一つの国で発覚すると、他の国でもやっているのではないかという疑いの目で見られ、世界中のマーケットからはじき出されることになりかねないからだ」と指摘した。
◆ODA受注物産3年で4倍に
モンゴルに対する発電機の無償供与は、97年度から2001年度にかけ、同国政府との間で契約が交わされ、四次にわたって計400台が提供された。
三井物産が受注したのは第四次村落発電施設改修計画事業の計150台(総額16億3300万円)。外務省は「第三次までで目的は達した」と判断していたが、当時、自民党総務局長だった鈴木宗男衆院議員の強い意向で、第四次供与が実現したことが分かっている。三井物産が受注したODA(共同受注を含む)はここ数年、急激に増加している。
国際協力事業団(JICA)や国際協力銀行の公表資料によると、同社が受注した無償支援(1億円以上)と円借款事業(10億円以上)の合計は、99年度約173億7000万円だったが、翌年度には388億7千万円、昨年度は696億9000万円と、3年間で約四倍に膨れ上がっている。
《モンゴルへの発電機供与の入札結果》
入札時期落札金額(円)落札企業
第1次98年4月7日1億7747万伊藤忠商事
第2次99年3月9日6億5000万丸紅
第3次00年3月15日5億6000万伊藤忠商事
第4次(1期)01年2月5日10億2480万三井物産
第4次(2期)〈1〉01年12月18日5億495万三井物産
同上〈2〉同上1億400万三井物産
↑back
2002.08.28 三井物産ODA疑惑国境越え贈賄刑事責任、初追及へ不正競争防止法を適用
「汚職に国境はなく、経済の境界線も越えてすべての政府を汚染する。国際商取引でわいろの授受をなくし、金融システムの高潔さを保たなければならない」。今年五月にパリで開かれた経済協力開発機構(OECD)の閣僚理事会で、ドナルド・ジョンストン事務総長はそう語り、国境をまたいだ贈賄行為に対する厳しい姿勢を打ち出した。
政府開発援助(ODA)などを巡り、常態化していた不正なリベートの供与は今、国際的な指弾の的となっている。今回発覚した三井物産によるモンゴル政府高官への贈賄工作疑惑は、同社が日本を代表する国際企業であるだけに、わが国企業による国際商取引全体に対する信用を傷つけることにもなりかねない。
フィリピン捜査当局の調べで、三井物産は1980年代に、住友商事などとともにマルコス元大統領側に計数千万ドルのリベートを渡していた疑いが浮上した。2000年には、東南アジアのプラント建設事業で、現地関係者に約4億円のリベート提供が発覚した。90年代に入り、米国が中心となり、不正競争を防ぐ機運が国際的に高まったが、同社の体質は一向に改まっていなかったことになる。
東京地検特捜部は今回、鈴木宗男衆院議員に絡む一連の事件を捜査する中で、国後島ディーゼル発電施設の入札を巡る大手商社間の談合の実態をあぶり出した。三井物産によるモンゴル政府高官への不正な資金提供の事実はその延長線上で浮上した。
検察首脳の一人は「商社談合の悪質さには目を覆いたくなるほどのものがある」と語っている。特捜部が、不正競争防止法の「外国公務員への贈賄罪」という、過去一度も適用例のない法律を駆使して捜査を進めている背景にも、不正取引を放置しておくわけにはいかないとの思いと、国際的な取り組みへの敏感な対応があると見られる。
三井物産関係者によると、同社は国後島のディーゼル発電施設建設を巡る不正入札事件で3人の逮捕者を出したが、社内にはなお、「個人の犯罪」として片づけようとする意識があるという。しかし、外国公務員への贈賄罪には法人の罪を問う両罰規定がある。その責任が明確になれば、「個人の犯罪」という言い訳は通用しない。
↑back
2002.08.28 三井物産、ODAで贈賄モンゴル高官に百数十万円発電施設受注
◆不正競争防止法違反の容疑
モンゴルにディーゼル発電施設を供与する政府開発援助(ODA)を巡り、大手総合商社「三井物産」が昨年以降、発注側のモンゴル政府高官に現金百数十万円を手渡していたことが関係者の話で分かった。
東京地検特捜部も同様の事実を把握し、提供資金が発電施設設置事業に絡むわいろだったと判断。法人としての同社と社員に対する不正競争防止法違反容疑で捜査している。1998年の同法改正で新設された「外国公務員への贈賄罪」を初適用、ODA事業に絡む不正の本格追及に乗り出すもので大手総合商社の責任が厳しく問われることになりそうだ。
贈賄側は、国後島ディーゼル発電施設を巡る偽計業務妨害罪で起訴された三井物産産業システム事業部チームリーダー・島崎雄介被告らで、収賄側は、モンゴル政府の電力エネルギー部門の局長級の高官。同法は、外国公務員への贈賄行為をした社員が所属する法人も罰する両罰規定を設けているが、収賄側の罪を問う規定はない。
贈賄の舞台は、日本政府が無償で資金供与し、電力不足に悩むモンゴルの村落に計150基の発電設備を設置した「第四次村落発電施設改修計画事業」。
関係者によると、島崎被告らは昨年夏以降、同事業の受注で便宜を図ってもらうため、モンゴル政府高官に対し、東京都内のホテルなどで数回に分けて現金計百数十万円を手渡した。モンゴルでは、一般公務員の月額給与は1万円未満で、わいろ額はその100か月分以上に相当する。島崎被告らは、高官の日本での滞在費や渡航費などを肩代わりしていた疑いもある。
外務省などによると、都内のコンサルタント会社を会場に昨年2月に行われた第一期工事の入札には、三井物産のほか兼松、住友商事、三菱商事が参加したが、最も低い価格で入札した三菱商事が寒冷地実績を満たさなかった理由などで失格し、二番目の低価格を提示した三井物産が落札(10億2480万円)。
同年12月の二期工事の入札は二回に分かれ、同社のほか、一回目は兼松、二回目は住友商事が参加したが、いずれも三井物産が落札(計6億895万円)した。
↑back
2002.08.28 三井物産ODA疑惑他商社に名義貸し依頼競争入札の体裁装う
モンゴルへの政府開発援助(ODA)に絡み、三井物産が同国政府高官に現金を渡していた疑惑で、同社は発電機供与の入札に際し、入札に参加する意思のなかった別の商社に「名前だけ貸してほしい」と持ちかけていたことが、関係者の話で分かった。
三井物産は北方四島支援事業の国後島ディーゼル発電施設の入札で、競争入札の形式を整えるため、他社に同様の働きかけをしていたことが判明している。モンゴルへのODA事業を巡っても、発注側への贈賄工作に加え、業界内の調整を主導していた疑いが浮上した。
◆「国後」と同じ手法
モンゴルへの第四次発電機供与の入札は、一期工事が昨年2月、二期工事が同年12月に行われた。一期工事には、三井物産のほか、住友商事と兼松、三菱商事、二期工事のうち「ロット1」と呼ばれる事業には三井物産と兼松、「ロット2」には三井物産と住友商事がそれぞれ入札に参加した。
関係者によると、三井物産はこれらの入札前、住友商事などに対し、「必要な書類は全部こちらで用意するから、名前だけ貸してほしい」と協力を要請。三井物産は、外務省関連団体「支援委員会」が発注した国後島施設の入札(2000年3月)でも住友商事と兼松に「名義貸し」を依頼し、見積書などの書類作成を代行したり、入札金額を指定したりした。
その一方で、受注意欲を見せていた丸紅には入札参加を断念させるため、同社の提携先に圧力をかけ、受注に成功していた。
↑back
2002.08.30 物産ODA疑惑3回に分け130万円、モンゴル高官に提供入札時期などに
モンゴルへの政府開発援助(ODA)を巡る贈賄疑惑で、大手総合商社「三井物産」の元産業システム事業部チームリーダー・島崎雄介被告から同国政府高官への資金提供は、昨年6月から今年4月の間3回に分けて行われ、総額で130万円に上ることが、関係者の話で分かった。
島崎被告は東京地検特捜部の調べに対し、この事実を認めているという。特捜部は、三回の資金提供のうちどの部分が発電施設事業に絡むわいろにあたるか、詰めの捜査を進めている。
関係者の話によると、島崎被告は昨年6月、まず50万円をモンゴル政府高官に提供したのに続き、半年後の同12月に50万円を、さらに、今年4月に30万円を高官に手渡していた。資金提供はいずれも、高官が来日した際、都内のホテルなどで行われていた。三井物産側はこのほかにも、同高官の接待費や日本での滞在費も負担していたという。
三井物産がモンゴル政府から受注した第四次村落発電施設改修計画事業は二期に分かれ、第一期分の入札は昨年2月に行われた。第二期分は「ロット1」と呼ばれる事業と「ロット2」事業に分けて入札が行われたが、どちらの入札も同12月に実施された。
このため、島崎被告からモンゴル政府高官への最初の50万円は第一期分の入札の4か月後、また、二度目の50万円は第二期分の入札とほぼ同時期に提供されたことになる。
特捜部では、これらの資金提供には、三井物産が工事の受注から施工までをスムーズに進めることが出来るよう、同高官に便宜を図ってもらいたいとの趣旨が込められていたと判断。
第二期分の入札の4か月後に行われた最後の30万円の資金提供や接待、滞在費などについても、わいろに当たるかどうか、慎重に調べを進めている。
問題になっているモンゴルへの発電施設供与は、無償資金協力。日本政府は被援助国の要請を受けて、事業の必要性などを国際協力事業団(JICA)に審査させた上で、閣議決定を経て被援助国政府と交換公文を交わす。その後、被援助国政府が入札を行い、受注企業を決める。
《第4次発電機供与と三井物産の資金提供の経過》
2000年11月第4次供与1期分の交換公文締結
01年2月1期分の入札
3月モンゴル政府が三井物産と契約(10億2480万円)
6月同社が同国政府高官に50万円提供
9月第4次供与2期分の交換公文締結
12月2期分の入札
同社が同高官に50万円提供
同国政府が同社と契約(計6億895万円)
02年4月同社が同高官に30万円提供
↑back
2002.09.01 三井物産ODA疑惑見積価格、筒抜け子会社から入手99%高値落札
政府開発援助(ODA)を巡る贈賄疑惑が浮上しているモンゴルへの発電施設設置事業で、三井物産が、参加した三件すべての入札の前に、子会社を通じて見積価格を入手していたことが、関係者の話で分かった。
同社はいずれの入札でも、予定価格の99%を上回る高値を入れながら、落札に成功。他の参加商社は予定価格を上回る値で応札するなどして、受注を逃していた。一連の入札では、商社談合が行われた疑いも浮かんでおり、ODAに絡む入札が骨抜きにされて、事業費が不当に高く設定されていた実態が浮き彫りになった。
三井物産が受注した「第四次村落発電施設改修計画事業」は、昨年2月に第一期分の入札が、また、昨年12月に第二期分の2件の入札が実施された。ODA事業では、援助を受ける国が発注者として入札の実施主体となるが、見積もり作業などの実際の入札関連業務は通常、コンサルタント会社に委託。委託契約書には、見積価格の漏えいを禁じる条項が盛り込まれる。
関係者によると、第四次事業では、東京のコンサルタント会社が入札業務を受託したが、実際の見積もり作業は、その下請けに入った三井物産の子会社「エムビーケイテレコムトレーディング」が実施。同社は入札前に、その結果を三井物産側に伝えていたという。
三井物産はこれを受け、第一期工事の入札では、予定価格の99%以上の高値で応札した。ともに入札に参加した兼松と住友商事はそれを上回る値を提示。三菱商事は三井物産より低い価格を入れたが、「仕様の違い」などを理由に失格となった。また、第二期分の2件の入札でも、三井物産は予定価格の99%を上回る価格で札入れしたが、兼松と住友商事がそれ以上の高値を提示したため、三井物産の受注が決まった。
関係者によると、三井物産はこれらの入札前に、他の参加商社に「必要書類は全部こちらで用意するから名前だけ貸してほしい」と談合をもちかけていた。兼松、住友商事は要請に応じたが、三菱商事だけは拒否したという。
このODA事業を巡っては、三井物産の元産業システム事業部チームリーダー・島崎雄介被告が昨年6月以降、モンゴル政府高官に現金計130万円を提供するなどの受注工作をしていたことがわかっており、東京地検特捜部が不正競争防止法(外国公務員への贈賄禁止)違反の疑いで捜査している。
↑back
2002.09.03 三井物産の社長・会長辞任へODA疑惑など引責
三井物産同社は国後島の入札妨害事件で社員が起訴された7月24日、上島会長と清水社長ら役員4人が報酬の20%を3か月間返納し、日本経団連での活動も自粛する対応をとっていた。しかし、新たにモンゴルでの贈賄疑惑が発覚し、東京地検が不正競争防止法違反の疑いで捜査を始めたことで批判が高まった。
同社はこのほかにも2000年6月に日本人嘱託社員が中国・浙江省の火力発電所建設の入札にからみ、中国側にわいろを贈ったとして社員が懲役2年、国外退去処分の有罪判決を受けている。
↑back
2002.09.04 相次ぐ三井物産贈賄疑惑トップに社内から批判「説明責任の意識欠ける」
三井物産が三日、清水慎次郎社長と上島重二会長の辞任を決めたのは、国後島のディーゼル発電施設の不正入札事件やモンゴルへの政府開発援助(ODA)をめぐる贈賄疑惑などが相次いで発覚する中、「三井物産の最大の財産である信用と信頼」(清水社長)を取り戻すため、明確なけじめを示す必要に迫られたからだ。
だが、清水社長は昨年五月に発覚した中国の電力プロジェクトに関する贈賄事件や、今回の不正入札事件で社員が逮捕された直後、いずれも記者会見などに姿を見せず、社内外から厳しく批判された。
社内からは、「トップの説明責任の意識が欠けている」(幹部社員)などと、事後の対応のまずさに対する首脳批判が出るほどで、清水社長の求心力は急速に失われていた。
日本ハム、東京電力など企業不祥事が相次ぐ中でも、三井物産はとくに危機管理などで後手を踏んだ印象が強い。商社は業者同士の取引仲介というこれまでの「黒子役」から脱却し、食品流通業界への進出などで消費者に直接向き合う分野を収益源にしつつある。
↑back
2002.05.27ダスキン添加物問題肉まん販売、半年長かった本発売前「試験的」106万個
「ダスキン」が運営する「ミスタードーナツ」の食品衛生法違反事件で、ダスキンが無認可の食品添加物を使った肉まんの販売を始めたのは、当初の発表より半年早く、2000年4月からだったことがわかった。
添加物混入が明るみに出て27日で一週間。同社の説明は二転三転し、混入経緯なども未解明のままだ。また、会社ぐるみの隠ぺいは大阪府警の捜査にも影響を与えることは必至。
ダスキンは当初、無認可の酸化防止剤t―ブチルヒドロキノン(TBHQ)を含んだ肉まんの販売開始時期について、「2000年の10月6日」としていた。ところが、同社広報本部は25日夜になって「同年4月」と修正。10月からの新発売に先立ち、大阪府内と東京都内の計5店で試験販売を開始、その後、全国72店に拡大して9月いっぱい試験販売を続け、この間、106万個が販売されたという。
しかし、同本部は「試験販売分は当初発表の合計数1314万個に含まれている」としている。
肉まんはダスキンが金沢市内の業者に製造委託。再委託を受けた大阪市内の会社の中国現地法人が生産した。皮の風味付けに使われた植物性油脂(ショートニング)が、数十種類ある油脂のうちの、TBHQ入りの製品だった。
どの段階で、この製品の使用が決められたのかについて、大阪府の調査では、ダスキンが提携会社に作成させ、業者に指示したレシピには「ショートニング」と記載、具体的な製品名はなかった。一方、業者名義で作成された配合表では、この製品が指定されていた。
しかし、業者は「製品を指示したのはダスキン側だった」と説明。試作品にダスキン側から風味でクレームが付き、「具体的に指定された」と話している。ダスキンは「原材料の製品を決めるのは委託先」と否定、混入の経緯は謎だ。
府警が捜査している食品衛生法違反(六条、添加物等の販売等の禁止)容疑は「故意」に販売していた場合に成立する。このためダスキンが、2000年11月30日の大阪府内の取引業者による混入指摘後、同12月20日ごろまで約300万個を売ったことが立件対象とみられる。
捜査のポイントは首脳陣の関与。ダスキン側は、販売継続はフード事業担当専務が指示し、当時の千葉弘二・社長兼会長には昨年2月に報告した、と説明。当時の上田武・専務(現社長)には別の取引業者が2000年12月末に指摘したと証言した。
府警は、問題の肉まんが残っていないため「混入の裏付けや原因特定に相当な時間が必要」としている。
最初に混入を指摘した業者への6300万円の支払いをめぐっても、ダスキン側は「業者から提携会社に脅迫的言動があった」として刑事告訴を「検討中」という。しかし最終的にこの金を負担した提携会社社長は「脅されていない」と言っている。
↑back
2002.09.05 三井物産のODA贈賄疑惑モンゴル高官にデジカメも贈る
政府開発援助(ODA)を巡る三井物産の贈賄疑惑で、モンゴル政府高官に現金計130万円を提供していた同社元産業システム事業部チームリーダー・島崎雄介被告が、同高官にデジタルカメラも贈っていたことが4日、関係者の話で分かった。
関係者によると、島崎被告がデジカメを贈っていたのは昨年12月。モンゴル政府高官は当時、ODAの「第四次村落発電施設改修計画事業」第二期工事の入札に立ち会うために来日しており、島崎被告はこの機会をとらえて、現金50万円と合わせてデジカメを手渡したという。
収賄側の高官は、インフラ(社会基盤)省のスフバートル燃料・エネルギー政策・調整局長と見られているが、同局長は「金どころか、物だってもらっていない」と話している。
↑back
2002.09.05 疑惑、説明一切なし“貝のまま”会見90分三井物産社長ら辞任正式発表
三井物産の清水慎次郎社長は4日午後、記者会見し、国後島のディーゼル発電施設をめぐる不正入札事件や、モンゴルの政府開発援助(ODA)に伴う贈賄疑惑などの経営責任を取って、30日付で清水社長と上島重二会長が引責辞任すると正式発表した。
上島会長は日本経団連の副会長などすべての役職を退くほか、不祥事を起こした機械部門を担当する田代淳副社長、吉田治彦常務も辞任する。後任の社長には槍田松瑩専務、会長には大橋信夫副社長が昇格する。
清水社長は午後4時から、東京・大手町の本社で約140人の報道陣を前に約一時間半にわたり、会見した。
「当社の社会的信用が大きく傷ついたことはまことに遺憾だ。経営刷新のため責任を取り、けじめをつけたい」。清水社長はこう述べて、深く頭を下げた。
同社長は「モンゴルの疑惑で社会的信用が低下した」と、辞任の直接のきっかけがモンゴル政府高官への贈賄疑惑だったことを明かしたが、疑惑への釈明を求められると、「裁判に関係する恐れがあるのでコメントを差し控えたい」を連発。「まだ起訴されていないのに裁判というのはおかしい」と指摘されても、同じ言葉を繰り返すだけで、一切の説明を拒んだ。
辞任する四人の今後の役職や退職慰労金については、清水社長は「まだ決まっていない」と語った。
↑
back
2002.09.10 ODA疑惑三井物産・槍田次期社長が会見「自らの処分後に就任」
モンゴルの政府開発援助(ODA)に伴う贈賄疑惑などで辞任する清水慎次郎社長に代わって三井物産の社長に就任する槍田松瑩専務は9日、就任が決まってから初めて記者会見した。
槍田次期社長は一連の不祥事に対する自らの責任について「自分も経営陣の一人であり、また広報担当としてけじめをつけないと社長としてスタートできない」と述べ、30日の社長就任前に開く取締役会で自ら減給を含めた処分を申し出、処分を受けてから社長に就任する考えを明らかにした。
槍田次期社長は不祥事について「かつて三井物産の社員が持っていた高い志や道徳的緊張感が欠けていると思わざるを得ない。社員の心の持ち方から考えていく」と、コンプライアンス(法令順守)を徹底する考えを示した。具体的には、「社内の情報が私に素早く入ってくる仕組みをつくること」をあげ、社員が匿名で社長に電子メールを出せるようにしたり、報道機関を通じて自分の考えを伝える場を増やすことなどで改善を図るとした。
しかし、これ以外の再発防止策については「今後、考えたい」と述べただけで具体策は示さなかった。また、モンゴルの贈賄疑惑については「社内調査中」として白黒の明言を避け、「清水社長の辞任は会社として疑惑を認めたことにはならない」と釈明した。
↑back